学校の勉強ができる子供、学校の勉強ができない子供。その2
前回の記事で、
子供の1人1人の「理解力」についてお話しました。(同じタイトル記事、その1を読んでいただけるとありがたいです!)
「1を言って10のことがわかる」
「10を言って1のことがわかる」の違い。
極端に言っているので実際は、
「4言って5以上のことがわかる」
「6言って3くらいのことがわかる」みたいな感じの個々の理解力の差です。
学校や集団塾では、先生が1人でたくさんの生徒さんに同じことを説明したり話をしたりします。そのことについて「バッチリわかったー!」って子と、「何言ってるかわかんない…」って子の差はどうしてもあります。もちろん1人1人に合わせた話し方や指導ができる、生徒側からしたら個別の対応をしてもらうに越したことはないのですが、人間社会は集団社会…そうもいかないことが世の中たくさんありますね。
ですのでなるべく「理解力」を底上げしていくと、本人も生きやすくなるし、親御さんも安心だと思います。
では理解力はどうしたら上がるのか。
私は長年、色々な生徒さんと接してきて思うのは、やはり、まずは「国語力」
要するに日本語を使いこなす力を上げることに重点を置くこと。
…ありきたりな答えすぎてすみません。
国語がまずできないと他の教科もできないから…と、公立小学校の1年生の1学期では国語の授業数が多めのところが多いと思います。
本当にその通りだと思います。
しかし、国語ができるっていうのは、漢字テストが100点だとか、長文の読解問題が100点だとか、そういうことではありません。(もちろん100点取れたら素晴らしいんですが)
とにかく母国語(日本語)の語彙力です。
なかなか学校の成績が伸び悩んでいる生徒さんは、語彙力が圧倒的に低いです。
その学年では知っていた方が良いであろう言葉を知らない。
言葉をを聞いたことはあるが、意味がわからない。
言葉を聞いたこともないし、意味ももちろんわからない。
そうすると、その言葉が出てきた文章を読んだり、先生がその言葉を使って説明や話をした時に、その子は意味がちんぷんかんぷんなのです…。
これって、母国語が日本語の私たちが、後から英会話を勉強する時と同じです。
英語も、文法やスペルも大事だけど、まず単語の意味がわからなかったらアウトじゃないですか?
文法が多少めちゃくちゃでも、単語の意味がわかってたら意思疎通ができたりしませんか?
それで、日本の子供たち(特に小学生)の語彙力の底上げに関しては、一緒に生活してる家族(親御さんや祖父母、年上の兄姉など)の影響力は大きいです。
勘が良い子はテレビを見てたり本や漫画を読んで1人で覚えるかもしれませんが。
それもまた、その能力(ほっといても1人で勝手に覚える能力)が全員備わっているわけではないので、一緒に生活している親御さん等が普段からどういう会話をするかが大事だと思います。
気合い入れて難しい言葉で会話する必要はないんですが(笑)
例を出した方がわかりやすいので、例えば、例えばなんですが…
今、私の目の前に、手指の除菌用のアルコールがあります(笑)
このボトルの説明書に、
「業務用手指消毒剤」
「指定医薬部外品」
「効能、効果」
「用法、用量」
などのたくさんの漢字熟語が書いてあります。
小学校の中学年から高学年くらいのお子さんでしたら、そのあたりの言葉の意味でわからないものがあれば、覚えてもらえると良いなと思います。仮に自分の子供が10歳くらいで、たまたま食卓にこれが置いてある、「手の除菌しなさいよ〜」なんてやりとりを親子でするとする…。
「業務用手指消毒剤」
で消毒しなさいよ〜。なんてわざと読み上げてみる。
「業務用って何?」なんて質問が子供から返ってきたらラッキー。
業務用って言葉…例えば、業務用スーパーなんかもありますよね。業務用って、いったい、何用なの??
家庭用…が反対の意味?
今はスマホですぐ調べられるんだから、親御さんがうまく説明できなかったらGoogle先生の検索結果を読み上げても良いです。
(ちなみにWikipediaでは業務用は企業や学校や官公庁用に一般家庭用ではない用途を前提として開発されたもの…などという書き方をしてますが、「家庭用じゃなくてお店とか会社とか学校とか用って意味だよ」などと説明すれば良いと思います)
そして、他にも、
「指定」「効能」「用法」
これくらいのレベルの言葉は、漢字ドリルで出てきますね。
しかし、子供たちは漢字ドリルの宿題が出たら漢字を間違えないように書くだけで、その言葉の意味を知ろうとする子は少ないです。
ぜひ、言葉の意味を、親御さんがサポートしてあげてお子さんに伝えてあげて下さい。押しつけだとウザがって逆効果なので、あくまでも遊びの一環のテンションで会話の中に織り交ぜられたら素晴らしいです。
低学年のお子さんだったら、もっと簡単なレベルの言葉(この写真だと「皮ふ」とか「ぬるま湯」なんかはどうでしょう…)を、うちの子ちゃんと意味わかってるかな??とぜひ確認しがてら、親子で会話を楽しくして欲しいです。
その、日々のちょっとした工夫を全くやらずに怠ると…つまり、語彙力を子供任せにしておくと、子供の性格や興味によってどんどん語彙力、すなわち「理解力に直結する力」の差が開いてしまいます。
そして「低学年レベルの言葉の意味がわからない高学年」になってしまうと、国語だけでなく、算数の文章題も理科も社会も何もかもの成績が伸びづらくなる可能性が高いです。
ただ、学校の勉強の成績が良いことが全てではないので(この話はまたいつか…)、ご家庭で工夫しても自分の子供の語彙力がなかなかつかない…といった場合は焦って躍起になる必要もなく、最終的にはその子の幸せは何かということを考えてあげたいです。
とりあえずはお子さんが小さいうちから、無理なく年齢に応じた言葉のチョイスを親御さんがしてあげて、お子さんとの会話を楽しむ。様子を見て時には少し背伸びした言葉を使ってみたりしても良いかなとも思います。
お読みいただきありがとうございます。